「忙しい」は言い訳、やる気はやらないと起きない ー 行動が全てを変える
人は日々、さまざまな理由をつけて行動を先延ばしにしています。「忙しくて時間がない」「やる気が出たら始める」。そんな言葉を口にしたことはありませんか?しかし、この2つの言葉の裏には、私たちの行動を妨げる大きな誤解が隠れているのです。
「忙しい」という魔法の言葉
「忙しい」は、最も便利な断り文句になっています。誰かに誘われたとき、新しいことに挑戦する機会が訪れたとき、私たちは反射的にこの言葉を使います。
しかし、よく考えてみてください。本当に興味があることや、心から大切だと思うことに対して、私たちは時間を作り出すものではないでしょうか。
友人との約束、好きな趣味の時間、家族との大切なイベント。これらに対して「忙しいから無理」とは、なかなか言いません。つまり、「忙しい」という言葉の多くは、実は「それは自分にとって優先度が低い」という意思表示なのです。
問題は、私たち自身がこの事実に気づいていないことです。本当はやりたいと思っていること、やるべきだと分かっていることに対しても、「忙しい」という言葉で自分を納得させてしまう。それは自分自身への言い訳に過ぎません。
やる気を待つという罠
もう一つの大きな誤解が、「やる気が出たら始める」という考え方です。
多くの人は、モチベーションが高まり、完璧な状態になってから行動を開始しようとします。しかし、これは順序が逆なのです。
脳科学の研究によれば、行動を開始することで脳の側坐核という部分が刺激され、ドーパミンが分泌されます。これが「作業興奮」と呼ばれる現象です。つまり、やる気は行動の結果として生まれるものであり、行動の前提条件ではないのです。
「やる気が出たら始める」のではなく、「始めたらやる気が出る」が正しい理解です。
これは誰もが経験したことがあるはずです。掃除を始める前は億劫だったのに、一度始めるとあれもこれもと片付けたくなる。勉強を始める前は気が重かったのに、教科書を開いて最初の一問を解くと、意外と集中できる。これらはすべて作業興奮の効果なのです。
小さく始めることの力
では、どうすればこの2つの罠から抜け出せるのでしょうか。答えはシンプルです。「小さく始める」ことです。
完璧な計画を立てる必要はありません。まとまった時間を確保する必要もありません。ただ、今すぐできる最小の行動を起こすのです。
- 本を読みたいなら、まず1ページだけ読む
- 運動を始めたいなら、まず5分だけ歩く
- 勉強したいなら、まず教科書を開くだけでいい
- 副業を始めたいなら、まず情報収集を5分するだけでいい
重要なのは、行動のハードルを極限まで下げることです。「これならできる」と思えるレベルまで小さくするのです。
不思議なことに、一度始めてしまえば、多くの場合そのまま続けられます。5分だけのつもりが30分になり、1ページのつもりが1章読み終わる。これが作業興奮の威力です。
優先順位を正直に見つめる
同時に、自分の優先順位と正直に向き合うことも大切です。
「忙しい」と言ってしまう前に、自問してみてください。「これは本当に自分にとって大切なことか?」と。
もし答えがイエスなら、時間は作り出せるはずです。毎日のスマートフォンを見る時間を30分減らす、テレビを見る時間を少し削る、朝30分早く起きる。方法はいくらでもあります。
もし答えがノーなら、それはそれで構いません。無理に全てをこなす必要はないのです。大切なのは、「忙しい」という便利な言い訳で、自分の本心から目を背けないことです。
今日から始められること
明日から始めようと思っていることはありませんか?来週時間ができたら取り組もうと考えていることはありませんか?
その「明日」「来週」は、おそらく永遠にやってきません。
今日、今この瞬間から、最小の一歩を踏み出してください。完璧である必要はありません。大きな成果を求める必要もありません。ただ、始めるのです。
5分だけ、1ページだけ、最初の一歩だけ。それだけで十分です。
行動が習慣を作り、習慣が人生を変えます。そして、その最初の行動は、やる気が湧いてから起こすのではなく、やる気を生み出すために起こすのです。
「忙しい」という言い訳を手放し、「やる気が出たら」という待ちの姿勢を捨てる。そして、今すぐ小さな一歩を踏み出す。
その瞬間から、あなたの人生は動き始めます。

