呼吸しにくくなってない?
今、深呼吸してみて
この文章を読みながら、一度深呼吸してみてください。
ゆっくり、大きく、息を吸って。そして、ゆっくり吐いて。
どうでしたか?
もしかしたら、思っていたより息が吸えなかったかもしれません。肩や胸が硬かったかもしれません。呼吸が浅くなっていることに、今、初めて気づいたかもしれません。
気づかないうちに、呼吸は浅くなる
私たちは日々、たくさんのことに囲まれて生きています。仕事、人間関係、情報、不安、期待、責任。そんな中で、いつの間にか呼吸が浅くなっています。
パソコンの前で前かがみになり、スマホを見下ろし、緊張で肩に力が入り、気づけば胸だけで小さく呼吸している。本来、お腹の底まで届くはずの呼吸が、喉の辺りで止まっている。
そして、私たちはそれに気づかない。呼吸が浅くなっていることに、気づかないまま過ごしてしまうのです。
浅い呼吸が引き起こすこと
呼吸が浅いと、体と心にさまざまな影響が出ます。
疲れやすくなります。酸素が足りないから、体が常にエネルギー不足の状態です。不安になりやすくなります。浅い呼吸は、脳に「危険だ」というシグナルを送ります。イライラしやすくなります。自律神経が乱れ、感情のコントロールが難しくなります。
集中できなくなります。脳に十分な酸素が届かないから、思考がぼんやりします。眠りが浅くなります。体が緊張したままだから、深くリラックスできません。肩こりや頭痛が増えます。呼吸が浅いと、首や肩の筋肉が常に緊張します。
そして何より、生きている実感が薄くなります。呼吸は、生きている証です。それが浅くなるということは、人生が浅くなるということでもあるのです。
なぜ、呼吸が浅くなるのか
呼吸が浅くなる理由は、いくつかあります。
まず、姿勢です。スマホやパソコンを見るとき、前かがみになると胸が圧迫され、深く息が吸えなくなります。
次に、ストレスです。不安や緊張を感じると、体は自然と呼吸を浅くします。これは、危険から身を守るための本能的な反応です。
そして、習慣です。浅い呼吸が当たり前になると、深く呼吸する方法を忘れてしまいます。
現代の環境は、深く呼吸することを難しくしています。常に何かに追われ、常に情報が入ってきて、ゆっくり呼吸する時間すら忘れてしまう。でも、だからこそ、意識的に呼吸を取り戻す必要があるのです。
呼吸を取り戻す
呼吸を取り戻すことは、自分を取り戻すことです。
今、この瞬間の呼吸に気づく
まず、今の呼吸に気づくことから始めましょう。呼吸は浅い?深い?どこで呼吸している?胸?お腹?判断せず、ただ気づくだけで大丈夫です。
お腹で呼吸する
お腹に手を当てて、お腹が膨らむように息を吸ってみましょう。吸うときはお腹が膨らみ、吐くときはお腹が凹む。これが、本来の呼吸です。最初は難しくても、練習すればできるようになります。
吐く息を長くする
不安なときや緊張しているとき、吐く息を長くしてみてください。吸う息より、吐く息を長く。これだけで、自律神経が整い、心が落ち着いてきます。
呼吸に意識を向ける時間を作る
1日のうち、ほんの数分でいいので、呼吸だけに意識を向ける時間を作りましょう。朝起きたとき、寝る前、仕事の合間。呼吸を感じる。それだけで、心が整います。
姿勢を整える
背筋を伸ばして座る、または立つ。胸を開く。肩の力を抜く。この姿勢だけで、呼吸は自然と深くなります。

呼吸は、今ここに戻る扉
頭の中が忙しくて、過去を後悔したり、未来を心配したりしているとき。呼吸に意識を向けると、「今、ここ」に戻ってこられます。
呼吸は、常に今この瞬間にしかありません。昨日の呼吸も、明日の呼吸もない。あるのは、今この瞬間の呼吸だけ。
だから、呼吸を感じることは、今を生きることそのものなのです。
3つの簡単な呼吸法
4-7-8呼吸法
鼻から4秒かけて息を吸い、7秒息を止め、口から8秒かけて息を吐く。不安なときや眠れないときに効果的です。3回繰り返すだけで、心が落ち着きます。
丹田呼吸
へその下あたり(丹田)に意識を集中して、お腹で深く呼吸します。吸うときは丹田が膨らみ、吐くときは凹む。この呼吸を続けると、心が安定し、エネルギーが湧いてきます。
片鼻呼吸
右手の親指で右の鼻を押さえ、左の鼻から息を吸います。次に、薬指で左の鼻を押さえ、右の鼻から息を吐きます。これを交互に繰り返します。頭がスッキリして、バランスが整います。
呼吸と感情
感情が乱れたとき、呼吸も乱れています。怒っているとき、呼吸は速く浅くなります。不安なとき、呼吸は止まりがちになります。悲しいとき、呼吸は細く弱くなります。
でも、逆も真実です。呼吸を整えると、感情も整います。
イライラしたら、ゆっくり深呼吸。不安になったら、吐く息を長く。落ち込んだら、胸を開いて大きく息を吸う。
呼吸は、感情をコントロールする最もシンプルで強力なツールなのです。
呼吸と「自分はどうしたい?」
「自分はどうしたい?」と問いかけるとき、まず深呼吸してから問いかけてみてください。
浅い呼吸のまま問いかけると、不安や焦りの声が返ってきます。でも、深く呼吸してから問いかけると、本当の声が聞こえてきます。
呼吸が深いとき、心は静かです。心が静かなとき、自分の本当の気持ちが見えてきます。
呼吸と安心
「安心を先に感じる」ための最も簡単な方法は、深く呼吸することです。
深い呼吸は、体に「大丈夫だよ」と伝えます。体がリラックスすると、心も安心します。
不安なときこそ、深呼吸。何も解決していなくても、呼吸を整えるだけで、「なんとかなる」と思えてきます。
呼吸は、いつでもそこにある
呼吸の素晴らしいところは、いつでも、どこでも、誰でもできることです。
特別な道具も、場所も、時間も要りません。お金もかかりません。ただ、意識を向けるだけ。
今、この瞬間も、あなたは呼吸しています。その呼吸に気づくだけで、人生が変わり始めます。
最後に
今、もう一度、深呼吸してみてください。
さっきより、深く吸えますか?
呼吸に意識を向けただけで、もう変化が始まっています。

